

“Bobos(ボボス)”というライフスタイルをご存知だろうか?ここ10年程の間にアメリカの旅をしたり、暮らした経験をお持ちの方はご存知なのでしょうが、カリフォルニヤやコロラド、マサチューセッツ、バーモントなど今ではいたるところに、大学や先端企業のインフラがきちっと整備されながら、自然環境に恵まれ、何処からかミルク入りコーヒーやオーガニックな食材で作られた自家製マフィンの香りが漂ってくる、高級で開放的な街に出会うことがあります。
ラテ・タウンと言われるこれらの街は、S.ジョブスやB.ゲイツに象徴され、現在のアメリカ経済繁栄の立役者でもあるBOBO(ブルジョア・ボヘミアン)と言われる人たちが住民(消費者)となりつくり上げた上質なコミュニティでもあります。
「裕福だが物質主義者にはなりたくない。多忙だが、永遠に価値を失わない本質的なものを見失わない…」。消費の価値基準をウォンッ(優越的欲望)ではなく限りなく自己や家族のニーズ(必要)に求め、何よりもモノではなくコトに
消費価値を見出すこれらの街の知的エリート(BOBO)たち。彼等が大事にする モノの本質的な価値に拘る消費のスタイルやラフな生き方が、多様で寛容と創造力 に溢れ、とてもシンプルでバランスの良い街や文化をつくり上げたのです。
かつて、J・ジェイコブスが述べたように、都市や街の良質なコミュニティと文化 は、行政府の都市計画や不動産デベロッパー、建築家によって作られるので はありません。そこに住む、あるいは働く人々のライフスタイルや価値観が 消費市場を通して、結果的に都市や街のカタチやコミュニティを形成して行く のだと思います。
私たちは、高級な住宅地として名高い世田谷の成城5丁目に14の小さな種子
を蒔いてみました。日本のラテ・タウン候補地として、恵まれた立地条件と環境
はとても高いポテンシャルを感じさせてくれます。ここに暮らす人々が、将来、
どのようなコミュニティを形成し、新しい価値観と消費スタイルを発信してゆく
のかとても楽しみです。
《参考文献》
デイビッド・ブルックス(セビル楓:訳)「アメリカ新上流階級 ボボス」
ジェーン・ジェイコブス 「The Death and Life of Great American Cities」


戦後の昭和30年代に原型を発し、高度成長期に完成された現在の集合住宅のモデルは、ひたすら家族の暮しを内側に閉じ込めるものでした。
結果、私たちは、手軽な安全や利便性との引き替えに、本来、日本の住まいが大事にしていた外側(自然や環境、風景)との関わりや、良質な
コミュニケーションさえも失ってしまいました。
内と外の関わり方や“まあい”は、次世代の集合住宅に求められる大きなテーマであると考えます。
家族のカタチや在り方が様々であるように、あるいは家族を構成する個がそれぞれの人格やライフスタイルを持っているように、
本来、住まいのカタチやプランニングも多様であるべきです。
無個性な住宅の型に個やライフスタイルを押し込める必要があった戦後の集合住宅モデルから、自己のライフスタイルに合せて使いこなす住まいが供給される必要があります。
外と内を関連づけ、絶妙な“まあい”を演出する大切なアイテムです。
“柔らかな透明感のあるデザイン” 妹島和世さんの才能が、私たちの求める住まいのカタチをみごとに表現してくれました。